日本は世界5位の農業大国

2010年に書かれた本ですが、農水省の利益のために、日本と韓国しか採用していない「カロリーベース自給率」、それは分母に廃棄されている食糧も含まれていたり、輸出額は減っていたりして「自給」の実態とはあわず、日本の農業に危機感を植え付けるための策略で指標として採用され続けている。
生産額ベースであれば、自給率は68%あり、生産額の規模は日本は世界5位の農業大国であるとのこと。この本はお恥ずかしながら、つい最近まで知らなかったが、TPPの是非論や、日本の農業を輸出する機運が高まるなど、この5年間ほどで、なんにとなく論調に多様性がでてきている気がします。これこそが専門領域を持つジャーナリストが執筆する本のお手本の一つでしょう。公表されていない生産額ベースの食糧自給率を他国との比較したところがFactとしては大きく、米、バター、豚など、具体的な事象において農水省の謀略の全体像も納得感があります。この本の続編はいまのタイミングで読みたいのと、著者が遺伝子組み換えの話や日本の農薬の問題などをどのように考えているか、知りたい気がしました。食の安全も、様々な意見があり、素人では判断が付きにくい状況であり、ジャーナリストの視点が必要です。